インフォメーション
世の中、進歩していると実感した瞬間
R3.9.11(土)13時~17時 一般社団法人 日本財産管理協会の主催で、第13回専門実務研修会が開催されました。
テーマは、「会社法と商業登記規則の改正にまつわる実務解説~電子契約への対応ノウハウを含めて~」です。
約300人のZOOM参加者があったそうです。
まずは、前提の知識です。
最近「電子契約」というものが流行ってきているそうです。
これまで契約をするには、契約書を作成し、当事者が判を押すというのが一般でした。と言うか、それしかありませんでした。
ところが、最近は、契約書を電子化(PDF化)して、それをインターネットを経由して相手方に送って、それを受け取った相手方当事者が契約内容に同意し、さらに特定の事業者がクラウド上でそれにその事業者の電子署名をすることで契約が成立するというパターンが多くなってきているそうです。コロナ禍の中、必要に迫られている脱ハンコ、リモートワークの流れに後押しされたとも言えます。
ちなみに、電子署名とは、PCの画面に映る赤い印影(電子印鑑)ではなく、一定のアルゴリズムにより暗号化することを言います。暗号化することで、インターネットの途中でその情報が傍受されたとしても、内容が分からないようにし、また改竄されないようにしているわけです。近時は公開鍵暗号化方式が一般化しています。
それと商業登記規則の改正がどう関係するのか、という声が聞こえてきそうです。
端的にいうと、電子署名が付された株主総会議事録PDF、あるいは取締役会議事録PDFで登記をするという時代が来ているということです。
これに対しては、今現在でもオンラインで登記申請ができるのだから、その議事録PDFを法務省オンライン申請システムで送信すれば問題はないのではないかと言う方もいるかもしれません。
問題はそう単純ではありません。登記申請に際して司法書士は電子署名された議事録PDFの真正性を確認しなくてよいのか、ということになります。もし、確認しなくてよいということであれば、司法書士は単なる子供の使いに過ぎないことになります。確認するにしても、紙で作られているならば、その紙を目で見て、使われている印鑑と印鑑証明書とを照らし合わせて、本物かどうか確認するのは容易でしょう。
ということで、会社の登記でも、紙の議事録ではなく、電子化された議事録で登記申請ができる体制が進められています。
もちろん、電子署名の付された株主総会議事録、あるいは取締役会議事録が真正なものであるのかを、司法書士が検証できるシステムも作られています。使われている電子署名が、商業登記電子証明書であったり、あるいは公的個人認証電子証明書、さらには電子契約サービスにより民間事業者の利用する電子証明書であっても然りです。これってスゴクないですか!数年前なら全く想像もつかないことが着々と進行してます。
PCの画面に映る赤い印影が電子署名ではないですよ、電子署名は暗号化です・・・などと悠長なことを言っているうちに登記申請、さらには広く法律の中にデジタル化が着々と浸透してるといえます。
世の中、日々進歩している! しっかりと対応しないと、時代に取り残されると実感した研修会でした。
R3.9.15 つくば市商工会会員向け無料相談会のご案内 2021年度
つくば市商工会の会員向けに、弁護士・司法書士による無料相談会が開催されます。
本年度第2回の相談会となります。
日時 ◎弁護士相談 令和3年8月19日(木)14時~16時 (申込締切 8月12日)
◎司法書士相談 令和3年9月15日(水)14時~16時 (申込締切 9月8日)
定員 各日4名(1名30分程度)
会場 つくば市商工会会議室(つくば市筑穂1-10-4 大穂庁舎2階)
お問合せ つくば市商工会
司法書士は、相続、遺言、贈与などによる不動産の名義変更だけでなく、会社の登記、会社の企業法務に関するものまで
さらには、成年後見など広く財産管理に関するものまで、ご相談に応じますので、是非ともご利用ください。
新型コロナウイルス感染症の状況によりオンライン等での相談となる場合があります。
詳しくは、下記のチラシをご覧ください。
動産譲渡・債権譲渡登記(その5)-R3.6.1 動産・債権譲渡登記規則の一部改正
R3.6.1 に動産・債権譲渡登記規則の一部が改正されました。
そのほとんどが、登記申請書の添付書面についての改正です。
たとえば、同規則13条1項1号に、「申請人である法人の代表者の資格を証する登記事項証明書が必要である」旨の規定が新設されています。
その他に、「登記事項証明書」という文字がたくさん追加されています。
たとえば、「代表者の資格を証する書面」が「代表者の資格を証する登記事項証明書」と改正され、また「住所又は本店等を証する書面」が「登記事項証明書その他の・・・住所又は本店等を証する書面」と改正されています。
この該当箇所を読む限り、登記事項証明書が添付書面であることが明記されただけで、大した改正ではないのかなと思ってしまいます。
ところが、法務省は、この改正は、動産・債権譲渡登記の申請又は登記事項証明書の交付の請求をする場合に、上記の登記事項証明書の添付を省略することができるとするものであると説明しています。
動産・債権譲渡登記法、同令、同規則を見てみましたが、そのようなことはどこにも書いていません。何を根拠にそう説明しているのでしょうか?
答えは、「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律」の第11条です。どおりで、動産・債権譲渡登記関連の法律のさがしてもないはずです。
ということで、めでたく(?)会社代表者の資格証明書や譲受人の住所証明書は、添付を省略することができることとなりました。
ところがところが、同法11条には一定の制限がついていて、無制限に添付を省略できるとしているわけではありません。条文はとても分かりにくいので引用しませんが、簡単に言えば、「申請法人がその法人の商号・本店等又は会社法人等番号を提供し、これにより登記官が登記情報連携システムを利用してその登記情報を確認することができるときには、添付を省略することができる。」としています。
そうなると問題が生じます。ここからが本題です。
もし、動産・債権譲渡登記を申請する法人の登記(法人登記)が登記中で、登記官がその法人の登記を確認できないときには、どうなるのでしょうか?申請人は、登記中の法人登記が完了した後にその登記事項証明書を取得して、補正するのでしょうか?
おそらく、その答えはNOです。動産、債権譲渡の登記は、補正は許されません。(詳しくは、動産譲渡・債権譲渡登記(その1)をご覧ください。)取下げを指示され、従わないときは却下となると推測されます。
法務省のパンフレットに、ご丁寧にアンダーラインをつけた以下のような説明書きがあります。
「※2 動産・債権譲渡登記等の申請時に、当該法人について別途商業・法人登記が申請されていて、その登記が完了していない場合など、動産・債権譲渡登記所の登記官が登記情報連携システムを利用して当該法人の登記情報を取得することができないときは、登記事項証明書の添付を省略することはできません。」と。
であれば、登記事項証明書の添付を省略するときには、登記中か否かを申請法人に確認することが必須となるでしょう。