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動産譲渡・債権譲渡登記(その5)-R3.6.1 動産・債権譲渡登記規則の一部改正
R3.6.1 に動産・債権譲渡登記規則の一部が改正されました。
そのほとんどが、登記申請書の添付書面についての改正です。
たとえば、同規則13条1項1号に、「申請人である法人の代表者の資格を証する登記事項証明書が必要である」旨の規定が新設されています。
その他に、「登記事項証明書」という文字がたくさん追加されています。
たとえば、「代表者の資格を証する書面」が「代表者の資格を証する登記事項証明書」と改正され、また「住所又は本店等を証する書面」が「登記事項証明書その他の・・・住所又は本店等を証する書面」と改正されています。
この該当箇所を読む限り、登記事項証明書が添付書面であることが明記されただけで、大した改正ではないのかなと思ってしまいます。
ところが、法務省は、この改正は、動産・債権譲渡登記の申請又は登記事項証明書の交付の請求をする場合に、上記の登記事項証明書の添付を省略することができるとするものであると説明しています。
動産・債権譲渡登記法、同令、同規則を見てみましたが、そのようなことはどこにも書いていません。何を根拠にそう説明しているのでしょうか?
答えは、「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律」の第11条です。どおりで、動産・債権譲渡登記関連の法律のさがしてもないはずです。
ということで、めでたく(?)会社代表者の資格証明書や譲受人の住所証明書は、添付を省略することができることとなりました。
ところがところが、同法11条には一定の制限がついていて、無制限に添付を省略できるとしているわけではありません。条文はとても分かりにくいので引用しませんが、簡単に言えば、「申請法人がその法人の商号・本店等又は会社法人等番号を提供し、これにより登記官が登記情報連携システムを利用してその登記情報を確認することができるときには、添付を省略することができる。」としています。
そうなると問題が生じます。ここからが本題です。
もし、動産・債権譲渡登記を申請する法人の登記(法人登記)が登記中で、登記官がその法人の登記を確認できないときには、どうなるのでしょうか?申請人は、登記中の法人登記が完了した後にその登記事項証明書を取得して、補正するのでしょうか?
おそらく、その答えはNOです。動産、債権譲渡の登記は、補正は許されません。(詳しくは、動産譲渡・債権譲渡登記(その1)をご覧ください。)取下げを指示され、従わないときは却下となると推測されます。
法務省のパンフレットに、ご丁寧にアンダーラインをつけた以下のような説明書きがあります。
「※2 動産・債権譲渡登記等の申請時に、当該法人について別途商業・法人登記が申請されていて、その登記が完了していない場合など、動産・債権譲渡登記所の登記官が登記情報連携システムを利用して当該法人の登記情報を取得することができないときは、登記事項証明書の添付を省略することはできません。」と。
であれば、登記事項証明書の添付を省略するときには、登記中か否かを申請法人に確認することが必須となるでしょう。