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R1.11.2 日本財産管理協会 第10回専門実務研修「遺産承継業務と非弁行為」
R1.11.2(土)14:00~16:30 東京 代々木 全理連ビル 9階で、一般社団法人 日本財産管理協会の第10回専門実務研修会が開催されました。
テーマは『遺産承継業務と非弁行為』です。「~裁判例から導き出す非弁性を徹底分析~」と副題がついています。
この問題は、司法書士としてはとてもセンシティブな問題であるにもかかわらず、しっかりした議論がなされていないところです。
講師は、京都薩摩藩邸跡にあるD志社大学院法学研究科を修了されている司法書士の先生でした。
代々木がメイン会場で、大阪商工会議所がサテライト会場となっていました。双方を合わせて約130名の出席があったそうです。
自分としては毎度のことですが、どんな内容の研修会になるのかイメージしてみます。イメージがいまいちの時には出席するかどうか改めて考えます。
今回はおそらく、弁護士法72条でいうところの「一般の法律事件」の解釈がメインで、事件性が必要(事件性必要説)なのか、それとも事件性は不要(事件性不要説)なのか。事件性不要説ならば、司法書士法施行規則31条が弁護士法72条但書でいう「別段の定め」に当たるのか当たらないのか、というありきたりの話に終始するのかと予想しました。もしそうなら、希望的観測に基づく水掛け論になるだけなので、出席する価値がないということになります。
出席してみて案の定、事件性必要説、不要説が来ました。しかしそれは前振り・イントロの話で、10分程度で予想は裏切られることになりました。
そこから副題が始まります。
これまでの90件に及ぶ非弁行為に関する民事・刑事の裁判例とその判例に関する「最高裁調査官の解説」を分析し、そこから得られた「メッセージ」を先生独自の視点から紹介していただきました。
さらに、弁護士法72条の保護法益との関係も判例と関連づけて解説されました。同条が刑罰法規である以上、保護法益から議論しないと意味がないと思っていたので、ヒジョ~に興味深く聞き入りました。
今回の研修は、一言でいうと、最高裁調査官の解説に基づいた判例研究だと言え、ヒジョ~に勉強になりました。足腰のしっかりした、枝葉にも気を配った、アカデミックな講義だったととても感動しています。
このような講義に出会うと手放しでうれしくなります。このような議論・講義をする司法書士がいるのだと、同じ司法書士として頼もしくもありました。